魚偏に占う

『走り』『旬』『名残り』
これらは季節に敏感な日本人が
その季節を感じながら(楽しみながら)食すという、
日本料理特有の流れ(基本型)であり、
自分が和食をこよなく愛す所以でもある。

例えば魚を例に見ても、
その時々によって脂の乗り具合や甘み、
苦味が微妙に変わって来る。

つまり、『走り・旬・名残り』とは
一つの素材を年間を通して
3回分楽しむことが出来るとも考えられる。

魚偏に春『さわら』
魚偏に暑『しいら』
魚偏に夏『ワカシ』(ブリの稚魚)
魚偏に秋『カジカ』
魚偏に冬『このしろ』
魚偏に雪『たら』

そんな季節を感じられる多くの食材の中で、
自分が最も心を引かれるのが
魚偏に占うと書いた『鮎』。。。。

京都育ちなので、豊かな魚『鱧』も好きではあるが、
『鮎』は別格。

清水焼の白地に青柄の皿に
稚鮎が盛られると春を感じ、

それらが香りを身に纏い出すと夏を感じる。

落ち鮎という粋な呼び名の、
小さく繊細な卵の食感が
秋の訪れを教えてくれる。。。。

なんとも!

また鮎は、その食べ方も特徴的で、
頭から骨抜きを行うと、
内蔵まで綺麗に抜けるし、
尾から抜くと、骨だけが綺麗に抜ける。
鮎が目の前に並んだだけでも内心興奮している上に
見事に骨抜きに成功した暁には
冷静を保っているようには見えるが、
内心『ヤッタ!』って
自分の頭の中でシャンパンを抜栓した時のように
『プッシュー』って音と共に
アドレナリンが吹き出すのがわかる。(笑)

四万十川の栗焼酎、ダバタの『白』あたりと
その白身を合わせ、
少し焦げ目のついた頭や尾は
その『白』に同じダバタの『赤』を
少し混ぜ合わせた『ロゼ』で頂き、
更に苦みと香りが濃い血合いや内蔵は
『赤』だけで頂く。。。。

なんとも2!

塩焼き
味噌焼き
そろばんや、せごし(生のアユのブツ切り)
南蛮
甘露煮
山椒煮
うるか(内臓と卵の塩漬け)
鮎めし
鮎赤だし
鮎の姿寿し。。。。

まったく尽きない。。。。

先日三重県出身の千駄ヶ谷の女将さんに
稚鮎の山椒煮を出して頂き、
『美味い!』って思わず声を上げた際、
『京都っ子だね』って笑顔で迎えられ、

新宿の『名店』で生きた鮎を塩で焼き、

自前パーティーで2夜連続で高知産を。。。。

そして昨夜、なかなか時間が合わず
会食がお預け状態だった大切なゲストと念願が叶い
裏青山の秘密の隠れ屋で
琵琶湖産の稚鮎を天ぷらで!(素敵!)

*ちなみに鮎は稚魚期を海で過ごすが、
琵琶湖を海の代わりとしている琵琶湖産の鮎は
コアユ呼ばれ、海産アユとは区別されている。

『最近は琵琶湖も外来魚が増え、
鮎達も危険にさらされていて、、、、
でも、最も彼等が恐れているのは人間でしょうね』
と店主の口から。。。。

なんとも3!(確かに)

魚偏に占うと書く鮎。
神功皇后が出兵の成否をアユ釣りで占った話や
日本の初代天皇の神武天皇が、
ヤタガラスに導かれて吉野川を巡幸し、
飴を入れた壺を川に沈めて、
魚が浮けば事の成就が成し遂げると占い、
この時に浮いて出た魚が鮎だったとか。。。。

今夜はヤタガラスを胸に刻んだ青い侍達が
南の国でその勇姿を見せてくれる事を祈りながら
その勝敗を鮎を食しながら占いでもしますかね。。。。
« 前の記事 - 次の記事 »
---------------------------------------------

コメント

この記事へのコメントはまだありません。コメントしてみませんか!

コメントを書く